報告:署名を提出しました(2016.8.5) 提出2回目

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 2016.8.5 PM4:00 ※写真:署名提出の様子 ~ 法令審議室にて
 文部科学省に2点の署名を提出して参りました。

①署名簿【生徒に部活をする・しないの選択権を下さい!】12,777筆

②署名簿【教師に部活の顧問をする・しないの選択権を下さい!】28,222筆
                     ※前回提出時(2016.3.3)より4,700筆 増加

 署名提出先が17件もあり,担当課を招集することが難しかったため,法令審議室の長島雄大様(担当官)が一括で受け取ってくださりました。
 17件の署名については,確実に省内で共有していただけるとのことでした。

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 多くの提出先にスムーズに署名簿を共有していただくために,デジタルメディア(CD)に署名簿のデータを記録し,各提出先にお届けいただけるよう,お願いして参りました。

 署名簿②については,前回提出時よりも宛先が増加したため,追加分(4,700筆)のみではなく,28,222筆すべてを提出して参りました。

 -  提出の宛先について ※クリックで開閉

宛先については,署名提出の調整をするなかで文科省から助言をいただき,当プロジェクトの判断のもと,以下17件とさせていただきました。

-宛先
①文部科学省 文部科学大臣 松野 博一 様
②文部科学省 文部科学副大臣 義家 弘介 様
(次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース 座長)
③文部科学省 文部科学副大臣 富岡 勉 様
④文部科学省 文部科学大臣政務官 堂故 茂 様
(次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース 座長)
⑤文部科学省 文部科学大臣政務官 豊田 真由子 様
⑥文部科学省 初等中等教育局 局長 藤原 誠 様
⑦文部科学省 初等中等教育局 財務課 課長 矢野 和彦 様
⑧文部科学省 初等中等教育局 教育課程課 課長 合田 哲雄 様
⑨文部科学省 スポーツ庁 長官 鈴木 大地 様
⑩文部科学省 スポーツ庁 次長 髙橋 道和 様
⑪文部科学省 スポーツ庁 政策課 課長 澤川 和宏 様
⑫文部科学省 文化庁 長官 宮田 亮平 様
⑬文部科学省 文化庁 次長 中岡 司 様
⑭文部科学省 科学技術・学術政策局 局長 伊藤 洋一 様
⑮文部科学省 大臣官房 総務課 広報室長 鍋島 豊 様
⑯文部科学省 生涯学習政策局長 有松 育子 様
⑰中央教育審議会 教育課程部会 部会長 無藤 隆 様

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 プロジェクトメンバーの本間大輔ゆうけん藤野悠介が,学習院大学の長沼豊教授と共に提出に伺いました。法令審議室の担当官(長島雄大様)に,ご多用の中,受け取りに際して会合も設けていただきました。会合にて,プロジェクトメンバーから,以下の説明を申し上げました。
○署名の趣旨【生徒編】/【教師編】
○様々な立場の人から,部活問題の改善を求める切実なメッセージが届いていること
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賛同者の皆さまから,数多くのメッセージをいただきました。
【生徒編】1,900筆  /  【教師編】3,507筆

文科省の皆さまにより伝わるようにと,メッセージ記入者のお立場ごとに分類・整理して提出して参りました。

※「立場不明」のメッセージについては,「一般」に含めさせていただきました。

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 署名簿受取の担当官(長島雄大様)は,署名提出の趣旨を真剣に傾聴してくださりました。その上で,受け取った署名簿を省内でスムーズに共有し,担当課が政策形成の参考として活用できるようにしていく旨をご回答くださりました。

 尚,部活問題は,複数の課にまたがる根が深い課題です。学校教育の一環でありながら,その位置づけが曖昧であったがために,複数の部署が関わる問題となっています。
 今回の署名提出は,前回よりも多くの担当課の皆様に部活が抱える問題点を共有していただく契機となりました。

 子どもたちのためにも,教員のためにも,部活動の在り方が改善されることを願ってやみません。
 部活動については,「各学校・各教員の裁量で実施」ということで,長年にわたって無法地帯のまま放置されてきました。

 そうした中で,苦しさを乗り越えて成長できた子もいますが,その一方では「部活動によって人生を破壊された」と被害を訴える子もいます。部活動における顧問の理不尽な『指導』によって,死に追いやられてしまった子もいます。こうした痛ましい事件・事故が,部活動の中で次々に発生しています。学校は子どもを守り,育て,成長させるための場です。そのような場において,子どもに深刻な被害を与えるようなことが繰り返されてはなりません。
 その一方で,部活動への参加を心から望む子どもの思いにも,応えていく必要があるものです。

 教員においては,特に練習日数・時間数の多い部活動において,未経験競技の指導に従事する顧問が「過労死寸前」の状況に追い込まれています。
 顧問自身の健康被害も深刻であり,過労死ラインを超えた勤務が当たり前となっている現状は,異常です。さらに,教員への深刻な健康被害は「教育の質を低下」させます。

 「学校内」という密室にて起きていることなので,なかなか世間の目に触れることはありませんが,教員の異常な長時間労働のもとでは,教育の質は保障されません。現状,過労死ラインを超えながら尽力している教員の善意が最後の耐火壁となっています。しかし,それが崩れかかっているところです。つまり,教員の過重労働は,子どもたちの不利益に直結しているということです。

 現在では,部活動の大会の増加,ブロック大会,全国大会などの上位大会の存在によって,部活動は本来の在り方から姿を変えました。スポーツ・文化活動を追求する場へと変容を遂げたのです。こうした中で,スポーツ・文化活動の専門的な指導ができ,教員としての本務も十分にこなせる教員は稀です。また,そのような教員からも,「まともに教育に向き合おうとすると数十連勤は当たり前であり,体力的・精神的にしんどい」という声も聞こえてきます。
 このような劣悪な環境の元,部活動において子どもたちが深刻な被害を受ける事例が必然的に発生しつづけています。

 部活動ではなく,各教科で考えてみると,中学・高校では,各教科の指導免許をもった教員が配置され,教員人材が保障されるシステムになっています。しかしながら,部活動は教員の本務ではないため,各教科ほどには教員の配置に配慮はありません。そのため,部活動は,「スポーツ・文化活動(部活動)の指導力不足教員を量産する」システムとして機能しています。

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 上図の通り,中学・高校の運動部活動の顧問が指導競技の未経験者である割合はおよそ5割を占めています。

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 さらに,「専門的指導力の不足」を自覚している顧問教員はおよそ7割にのぼります。いかに,部活動が「スポーツ(文化活動)の指導力不足教員を量産する」システムとして機能しているか,おわかりいただけることでしょう。

参照:日本体育協会「学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書」(2014)より作成



 教員は,教育の専門家であって,スポーツ・文化活動の指導者ではありません。

 そのため,未経験競技の指導に従事する顧問には,多大な労力のロスが発生しています。



 これらの問題は一筋縄には解決しませんが,文部科学省は6月13日「学校現場における業務の適正化に向けて」の中で,「教員の部活動の負担を大胆に軽減する」と宣言しています。この宣言は,教員が子どもにしっかりと向き合えるようにするための政策として,提示されたものです。

 文部科学省は,これまで「部活動を積極的に実施せよ」との方針を出したことはありません。教員および子どもたちに,「部活動をやれ」とも「部活動をやるな」とも,言及していません。むしろ部活動については,「各学校・各教員の裁量で実施」ということで,長年にわたって無法地帯のまま放置されてきました。よって,部活動に伴う子どもの深刻な健康被害や教員の過重労働は,文部科学省が意図的に引き起こしてきたものではありません。無法地帯であったがために,現在のような惨状が生まれてしまったものです。
 しかしながら,現行の学習指導要領において『部活動は教育活動の一環』と明記されているので,文部科学省が対策に動き出すことは必然とも言えます。

○文部科学省
○教育委員会
○学校
 3つの立場ごとにやることは異なりますが、数年間かけて,抜本的な対策を行っていくという方向性が文部科学省から公式に発表されています。
 部活問題は,文部科学省からのトップダウンの通知や指導によってのみ改善できる課題ではありません。通知や指導があった上で,教員を含め様々な立場の人によって「改善の余地がある」という問題認識が共有され,改善されていく必要のある課題です。
 部活動のシステムの改善には,文部科学省・教育委員会・学校・保護者・世間一般の協力が必要不可欠です。いずれか1つでも欠けてしまうと,改善は難しくなってしまいます。

 部活問題対策プロジェクトのキャンペーンの最終目標は、以下の2点です。
○「生徒に部活動をする・しないの選択権が認められる」
○「教員に部活動の顧問をする・しないの選択権が認められる」

 いずれも,現段階では,「キャンペーンの成功」を宣言するには至りません。

 今後も継続してキャンペーンへの賛同を募り,署名活動を継続して参ります。
 これ以降に賛同してくださった方の署名およびコメントを,後日改めて文部科学省に提出に行って参ります。継続していくことが,大きな力となります。

 引き続き,署名とコメントの受け付けを行って参りたいと考えております。今後とも,ご協力のほど,何卒よろしくお願い申し上げます。


2016年8月5日
部活問題対策プロジェクト
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左から 藤野悠介 ゆうけん 小阪成洋(PN本間大輔) 長沼豊教授
※文部科学省入口にて
 写真撮影:眞蔵修平

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