以下の緊急提言を、スポーツ庁に提出しました。
(2018.2.8 速達→2.9着)

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緊急提言:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案) について
原案では、過度に苦しむ生徒・教師が続出します。
どうか、見殺しにしないでください。

提出先 ※クリックで開閉

①スポーツ庁 長官 鈴木大地 様
②スポーツ庁 次長 今里讓 様
③スポーツ庁 審議官 藤江陽子 様
④スポーツ庁 スポーツ総括官 平井明成 様
⑤スポーツ庁 政策課長 澤川和宏 様
⑥文部科学省 文部科学大臣 林 芳正 様
⑦文部科学省 大臣官房 審議官(初等中等教育局担当) 下間康行 様
⑧文部科学省 初等中等教育局 局長 高橋 道和 様
⑨文部科学省 初等中等教育局 初等中等教育企画課 課長 矢野和彦 様
⑩文部科学省 初等中等教育局 参事官(学校運営支援担当) 木村直人 様
⑪文部科学省 初等中教育局 参事官付 学校運営支援企画官 藤岡謙一 様
⑫運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 座長 友添秀則 様
⑬運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 座長代理 山口香 様
⑭運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 淺野あや 様
⑮運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 石塚大輔 様
⑯運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 泉正文 様
⑰運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 川原貴 様
⑱運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 菊山直幸 様
⑲運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 小宮山悟 様
⑳運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 妹尾昌俊 様
㉑運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 田村好史 様
㉒運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 杖﨑洋 様
㉓運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 奈良隆 様
㉔運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 西岡宏堂 様
㉕運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 平川理恵 様
㉖運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 望月浩一郎 様
㉗運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 森涼 様
㉘運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 山口隆文 様
㉙運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 山﨑成夫 様
㉚運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 平川理恵 様
㉛運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 山本明 様
㉜運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議 委員 渡邊優子 様

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案)を根本から改善してください

 先日公開されたスポーツ庁の運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案)に,我々一同大きく落胆しております。教師は授業などの教育課程の教育活動を行うために採用されており,部活動の顧問・スポーツ指導のスペシャリストになるために採用されているわけではありません。我々は,ガイドライン骨子(案)の以下の3点の内容に強く反対します。

①部活動の顧問を校務分掌と位置づけ,すべての教師が担うべき職務のようにしていること。
②運動部の顧問を指導の責任者と定義し,教師にスポーツ指導のスペシャリストになることを求めていること。
③生徒の運動の機会を部活動に求め,運動部をさらに増設しようとしていること。


 教育課程外であり無償の残業が前提となる部活動の顧問を校務分掌とし,部活動の存続を教師のタダ働きとボランティア精神に依存し続けようとするガイドライン骨子(案)は,根本からズレていると言わざるを得ません。部活動の顧問を校務分掌と定めることで,教師への部活動の顧問就任の不当な強制は,さらに強まることが容易に予想できます。
 ガイドライン案では,部活の顧問就任を強制されて苦しむ教師たち,入部を強制されて苦しむ生徒たちに,全く焦点が当てられていない点も問題です。スポーツ庁には,昨今の部活問題,中教審の働き方改革などの内容を深く理解している方はいないのでしょうか?
 つきましては,ガイドライン骨子(案)を以下のように改正することを求めます。

・部活動の顧問を校務分掌とすると解釈できる曖昧な文章を削除すること。
・「運動部顧問=運動部における指導の責任者」という定義を撤回すること。
・各学校の部活動の数は,教師の部活動の顧問に就任する/しないの意思を確認したうえで,配当可能な部活動指導員の数によって決めるようにすること。
・教師には部活動の顧問に就任するか否かの選択権があり,校長は教師に「顧問に就任するか否か」の意思確認をする必要があるということを,前文に記述すること。
・生徒には部活動に加入するか否かの選択権があり,学校は生徒に「部活動に入部するか否か」の意思確認をする必要があるということを,前文に記述すること。

 スポーツ庁にて再び審議をして案を練り直し,「ブラック部活問題」が解決に向かうようなカイドラインを作成してください。スポーツ庁のガイドラインが,部活動によって苦しんでいる多くの生徒,教師を救い,ますます日本の教育が発展するための礎となることに期待します。

【ガイドライン骨子(案)の問題点】
・生徒が部活動に強制的に加入させられている現状を解決するものになっていない。
・教師が部活動の顧問に強制的に就任させられている現状を解決するものになっていない。
・結局は,教師のタダ働きに頼って部活動を存続させる方向になってしまっている。
・休養日に関して,高校における部活動の規制が非常に弱い。
・案の「また、運動部顧問の決定に当たっては、校務全体の効率的な実施という視点に立ち、適切な校務分掌となるよう留意する。」という文章は,様々な解釈を生んでしまう悪文となっている。
・無賃の残業を前提とする部活動の顧問を校務分掌としており,顧問就任を命じた校長がコンプライアンスに違反してしまう。
・部活動の顧問に就任しない教師に,校内の本来的な職務が偏ってしまう。
・様々なニーズをかなえるべく,多様な部活動を設置することで,学校や教師の負担を肥大化させかねない。
・運動部の顧問教師にスポーツ指導のスペシャリストになることを求めており,教師の多忙化を促進している。
・オフシーズンの目安の日数が曖昧である。

【ガイドライン骨子(案)の評価できる点】
・部活動の練習を,長時間練習から効率的な短時間練習へ転換しようとしている。
・休養日を明確に設定し,生徒の心身の健全な発達を支援しようとしている。
・休養日を各学校に守らせることができるよう,具体的な方策まで提案している。
・オフシーズンをもうけ,生徒に多様な経験をさせようとしている。
・生徒の安全を確保しながら,よりよい指導を受けられるようにしようとしている。

2018年2月9日
部活問題対策プロジェクト

詳細説明
『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案)』を参照しながら~

LinkIcon運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案)

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・青文字は根拠です

略称 スポ:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議(第6回) 議事要旨

働き方改革:新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)【案】
・緑文字は当団体による貴庁への説明です

【1ページ目】
運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案)
前 文
○ 学校の運動部活動は、学校教育の一環として行われ、我が国のスポーツ振興を支えてきた。
○ また、体力や技能の向上を図る以外に、異年齢との交流の中で、生徒同士や教師等との人間関係の構築を図ったり、自己肯定感を高めたりする等、教育的意義が大きい。
○ 少子化の進展や社会・経済の変化等により、教育等に関わる課題が複雑化・多様化し、学校や教師だけで解決することができない課題も増え、運動部活動に関しても従前同様の体制では維持が難しく、学校や地域によっては存続の危機にある。
○ 将来においても、全国の生徒が各自のニーズに合ったスポーツ活動を行うことができ、生涯スポーツに親しむ基盤として運動部活動を持続可能なものとするためには、運動部活動の在り方の抜本的な改革に取り組む必要がある。
○部活動は教師の献身的な努力(犠牲)によって支えられ、部活動が教師の過重負担の最大の要因になっていることは看過できない。
【根拠】スポ※(第1回) 議事要旨
○ 冒頭,松野文部科学大臣挨拶
運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの作成検討会議の開催に当たり,一言御挨拶申し上げます。部活動は,生徒にとってスポーツに親しむとともに,学習意欲の向上や,責任感,連帯感の涵養(かんよう)等に資する重要な活動として教育的側面での意義が高い反面,適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は,生徒,教員ともに様々な無理や弊害をもたらすものであります。 
特に,部活動の顧問を担当する教員が,スポーツや文化芸術活動の経験がないために,技術的な指導が難しい状況が見られることや,部活動の指導が教員の長時間労働につながっているとの指摘があり,その指導体制の改善が求められています。
先月公表しました教員勤務実態調査の集計速報値では,いずれの職種においても,10年前と比較して勤務時間が増加しており,中学校の部活動においては土日の活動に関わる時間が約2倍となっています。
教育の質の向上や様々な教育課題の対応が求められる中,教員の長時間勤務に支えられている状況は既に限界で看過できない深刻な事態であることが裏付けられました。今回の結果を受けて,中教審において教員の働き方改革に資する方策についての総合的な検討をお願いし,教員の業務負担の軽減に向けて,スピード感をもって対処していきたいと考えています。
部活動の運営の適正化については,文部科学省としても,昨年度においては,各都道府県教育委員会等に対し,休養日の適切な設定を求める通知を発出するとともに,部活動の技術的な指導や単独での引率を行う「部活動指導員」の省令上の位置付けを行いました。また,児童生徒に関しても,成長段階にある児童生徒への身体的な負担も考慮しなければいけないと考えておりますし,学校生活全体でのバランスも検討していかなければならないと考えております。
今年度においては,生徒の健全な成長の促進や教員の業務負担軽減を目指し,部活動の運営の適正化に向けて,本日お集まりの皆様方の御知見・御協力を得て,「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を作成することを目指しています。本検討会議の委員に御就任くださいました皆様方に感謝を申し上げるとともに,今後の部活動の在り方について大いに議論を頂き,完成されたガイドラインが今後の部活動を行う上での学校設置者や学校現場の道しるべとなることを期待して私の挨拶とさせていただきます。
ガイドライン策定の趣旨等
○ 本ガイドラインは、義務教育である中学校段階の運動部活動を主な対象とし、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築するという観点から、運動部活動が、以下の点を重視して地域、学校、競技種目等に応じて最適な形で実施されることを目指す。
・ 生徒がスポーツを楽しむことで運動習慣の確立等を図り、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力の育成を図ること
・ 生徒の自主的、自発的な参加により行われ、学校教育の一環として教育課程との関連を図り、効果的に取り組むこと
・生徒への入部を義務づけている学校(生徒会規約含)が存在するが、その在り方は部活動の趣旨から外れているため、入部を義務付けないようにすること
【根拠】スポ
○ 鈴木スポーツ庁長官から,以下のとおり挨拶があった。
(略)
やはり生徒さんが安心に安全にどのように部活動をしていけるのかというのがこの全般にわたって非常に重要な論点かと思います。
・ 学校全体として運動部活動の指導・運営に係る体制を構築すること
○ 市区町村教育委員会や学校法人等の学校設置者及び学校は、本ガイドラインに則り、持続可能な運動部活動の在り方について検討し、速やかに改革に取り組むことを期待する。また、都道府県においても必要な事項を支援することを期待する。
○ 高等学校段階の運動部活動は、本ガイドラインの直接の対象となるものではないが、本ガイドラインの基本的な考え方は、学校種や学校設置者の違いに関わらず該当するものであることから、本ガイドラインを可能な限り準用し、速やかに改革に取り組むことを期待する。
○ 高等学校段階の運動部活動は、本ガイドラインの直接の対象となるものではなく、別のガイドラインにおいて定める
【根拠】スポ
(友添座長)
高等学校段階は今のままでいいという話ではなくて,あくまでも準用するということを大原則にしながら,個々の具体的な事例においては,校長の判断に委ねるというところが現実的には妥当だろうという御判断を会議の中では頂いてきたというふうに理解をしております。
その意味では,あくまでもこのガイドラインが適用されるべきだけれども,発達段階に応じて,あるいはスキルの上達過程において中学校との違いは出てくるのは然(しか)るべきところだろうと思っています。
→高等学校では中学校と発達段階の差がある以上、本ガイドラインにおいてはその箇所について具体的に高等学校で適用すべき記述をする必要があると考えます。もしくは、本ガイドラインの該当箇所を高等学校用に変更して高等学校用のガイドラインを設ける必要があると考えます。「準用」となると、本ガイドラインがガイドラインとして機能しなくなる可能性が高く、危険です。
○ 国においては、本ガイドラインを踏まえた運動部活動改革の取組状況について、定期的にフォローアップを実施する。
○教師の中には,部活動にやりがいを感じている者もいる一方で,競技等の経験がなく部活動の指導に必要な技能を備えていない教師等が部活動の顧問を担わなければならない場合には負担を感じている。部活動については,現状として学校の業務と整理せざるを得ないものの,部活動の指導は必ずしも教師が担わなければならない職務ではない。
【根拠1】スポ
(略)中教審の方で教師の働き方改革,こちらの方は議論されていますが,教師の負担軽減の話はもう前提,当たり前だと。そのような環境の中で,生徒さんがいかにいい形で部活動ができるか,今日はこの点を皆さんに御意見を賜りたいと思っております。
→教師の負担軽減の話は当たり前、という認識に同感です。そこで、このガイドラインの中にも具体的に教師の負担軽減の話について、「当たり前」のことを記載しておく必要があります。さもなくば、このガイドラインだけを教育委員会・各種団体・各学校・各管理職・各教員が参照し、「ひとり歩き」することで貴庁が意図せぬ方向に過熱化してしまう危険性が大いにありえます。それを阻止するためにも「当たり前」のことを記載してください。
【根拠2】働き方改革
・部活動については,学校の業務であるものの,必ずしも教師が担わなければならない業務ではない(p.13)
・教師の中には,部活動にやりがいを感じている者もいる一方で,競技等の経験がなく部活動の指導に必要な技能を備えていない教師等が部活動の顧問を担わなければならない場合には負担を感じている(p.22)

【2ページ目】
ガイドラインの内容
1 適切な運営のための体制整備
(1)運動部活動の方針等の策定
○ 都道府県は、本ガイドラインに則り、運動部活動の活動時間及び休養日の設定等、「運動部活動の在り方に係る方針」を策定する。
○ 市区町村教育委員会や学校法人等の学校設置者は、都道府県の方針を参考に、「設置する学校に係る運動部活動の方針」を策定する。
○ 校長は、学校設置者の方針に則り、毎年度、「学校の運動部活動に係る活動方針」を策定、公表する。各運動部における指導の責任者(以下「運動部指導者顧問」という。)は、毎月の活動計画及び活動実績を策定し、校長に提出する。
→「顧問」は「相談を受けて意見を述べる」というのが役割であって、技術指導を担うものではありません。「指導の責任者=運動部顧問」と記載することにより、各学校の顧問に「専門的な技術指導・安全管理をせよ」という圧力となってしまう危険性が大いにあります。圧力はかかるのですが、未経験競技の顧問となる教員が半数存在している実態からすれば、各教員顧問に不可能な要求を突きつけることとなります。しかし、高い要求に応えられるのは極一部に限られてしまいます。生徒の安全を十分に守れません。「顧問」ではなく、「指導者」という記載が相応しいです。

○教職員の勤務時間等に関する制度については,私立学校・国立学校と公立学校とで大別される。まず,私立学校及び国立学校の教職員については,労働基準法が全面適用される。公立の教育公務員に時間外勤務を命ずる場合は,「超勤4項目」に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られる。また,時間外勤務を命ずるにあたっては,健康及び福祉を害さないように考慮しなければならない。
【根拠1】働き方改革
教職員の勤務時間等に関する制度については,私立学校・国立学校と公立学校とで大別される。まず,私立学校及び国立学校の教職員については,労働基準法が全面適用される。(p.30)
【根拠2】働き方改革
教育公務員については,給特法により,公立学校の教育公務員は,正規の勤務時間の割振りを適正に行い,原則として,時間外勤務は命じないものとしており,正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は,「政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする」とされている。したがって,公立の教育公務員に時間外勤務を命ずる場合は,以下に掲げる「公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令」で定められている業務(いわゆる「超勤4項目」)に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られる。また,時間外勤務を命ずるにあたっては,健康及び福祉を害さないように考慮しなければならない。(p.31)
【根拠3】スポ
(山口香委員)
1の(1)の3番目,「毎月の活動計画及び活動実績を策定し,校長に提出する」とありますが,事務作業とか提出物が非常に多いことが教師の負担になっていることからすると,提出することはいいことだと思うんですけれども,これがまた更に教師の負担を生むという非常に難しい問題なので,書きぶりとしてはいいと思うんですけれども,先ほどから出ている意見は,ここに書くことと,これをどのように運用していくかという,また更に細かいところの説明が必要になると思うんです。その辺りを作るときに検討が必要かと思いました。
→校長および運動部顧問が策定・提出する書類の必要性は理解できます。こうした書類作成が業務として増加することにより勤務時間が長引くことは必然ですので、持続可能な運営体制とするためにも該当者の健康および福祉を害さないようにする必要があります。

(2)指導・運営に係る体制の構築
○ 校長は、生徒や教師の数、部活動指導員の配置状況を踏まえ、適正な数の部を設置する。また、運動部顧問の決定に当たっては、校務全体の効率的な実施という視点に立ち、教師に過重な業務負荷(勤務時間外の部活動の指導)がかからないように留意する。適切な校務分掌となるよう留意する。さらに、各運動部活動の活動内容を把握し、当該活動が生徒にとって適切であり、教師の過度な負担となることがないよう、必要に応じて指導・是正を図る。
【根拠1】スポ
当該活動が生徒にとって適切であり、教師の過度な負担となることがないよう、必要に応じて指導・是正を図る。
→同文中に「教師の過度な負担となることがないよう」とある通りです。しかし、現在の記載では「運動部顧問の決定に当たっては(略)適切な校務分掌となるよう留意する」とあるため、「顧問は校務分掌である」と解釈が可能な曖昧な記載となっています。この曖昧な記載により、「教師に過度な負担を強いてでも校務分掌として顧問を命じてしまえばよい」という誤った理解をされる危険性が極めて高いため、赤文字のように記載を改めた方が、貴庁の趣旨に沿ったガイドラインになると思われます。
【根拠2】スポ
(妹尾委員)
(2)の指導・運営に係る体制の構築のところですが,最初の文章の中で,「適正な数の部を設置する」と書かれております。何をもって適正と言うかというのは,もちろんそれは各学校の判断だとか考え方次第だとは思いますが,やはり少子化している中で,部活動の数が今それほどは減っていないというような学校も結構あるのではないかというのはデータでも示唆されていることなので,部活動の一部をやむなく閉じていくとか,休んでいくことも含めて,校長先生がしっかりやるというメッセージだと理解しています。そのように読めるのかどうかも含めて,もう少し丁寧に必要に応じて書いた方がよいというのが1点目です。
2点目は,先ほどの校長へのバックアップが必要との意見はすごく賛成なんですけれども,一部の部活動の見直しをするとか,そもそも休養日だけではなくて,部活動の数を見直していくとなると,やはり校長先生一人で決めるのは厳しいとおっしゃいます。保護者やOBとかのプレッシャーや伝統の重みというのがございますので,校長の役割ではあるんですけれども,校長任せだけではなくて,学校設置者もしっかりバックアップ,応援をしていくことはもう少し強調しないと,前に踏み出せない校長も多いので,しっかり考えたいということが2点目です。
3点目は,校務全体の効率的な実施という視点に立って,適切な校務分掌になるように留意するというのは,そのとおりだと思いますが,これだけ見ると,「しっかり効率的に,ある程度負担が過度にならないように顧問を校内で分担しなさい」というくらいにしか見えません。非常に熱心で指導意欲のある先生も多い一方で,自分の専門外だったり,あるいは授業準備をもう少ししたいだとか,子育てがあるとか,プライベートな事情があるとか,いろいろな理由で部活動をそこまでしたくないという方もいます。かなりやらされ感のある教師がいても,そのような人も顧問に据えないと,今の部数では教師間の負担が非常にアンバランスになるという問題が学校現場で起こっております。
部活動は,あくまでも生徒の自主的な活動であり,かつ教師にとっても顧問をするのは強制でもないし,義務でもありませんので,その点を確認をした上で,このガイドラインでもしっかり,教師の専門性や,あるいはライフプラン,志向・希望も踏まえながら,適切な部活動の数や運営の在り方,分担の在り方を考え,そうしたことをしっかり意識していただくような案文を検討いただきたいと思います。
(杖﨑委員)
運動部顧問と部活指導員の重要性というのが説かれているわけですが,その資質を担保しておくことについては,今後盛り込んでいくことに言及があったので,それはそのようにお願いしたいと思います。
一方,その方々と,校長先生あるいは教師の方との関係性というのでしょうか,どこまでこの人たちに任せるのか,教育の一環として教育に携わる方が分担するのか,といった関係性というもの,あるいは指揮・管理の関係性にもどこかで言及しておいていただきたいという希望でございます。
(望月委員)
1つは,法的な実効性の確保という点からの検討です。現在の中学校学習指導要領の中でも,学校運営上の留意事項の中で,「持続可能な運営体制が整えられるようにする」という文言が入っております。この部分に続けて,具体的施策を指導要領に盛り込む,あるいは地方行政法33条に基づく学校管理規則の改正を通じて同様の措置を講じるという施策の検討をお願いしたいと思っております。
これは,文部省が平成9年にこの検討会議とほぼ同じことをやっておるのでありますが,実効性がなかったという反省に立っての提言であります。
もう1つは,このガイドラインの1つの眼目が,子供の健康と生活権を保障するという目的でありますので,アメリカのNCAA(全米大学体育協会)が採用しているガイドラインを遵守するためのスポーツ団体のルールがありますから,これを参考に是非,中学校体育連盟をはじめとする学校体育団体への働きかけをしていただきたいというのが2つ目のお願いであります。
指導・運営に係る体制の構築との関係で基本的なお願いがあります。教師の過剰負担の解消という点での政策だと思いますが,現状は,運動部活動が教育の一環であるにもかかわらず,教師の運動部活動指導を業務外の教師の自主的な活動としているところが,実は教師の側の問題の根幹だと認識しております。
教師としての運動部活動指導が業務あるいは校務であることを認めれば,おのずと個々の施策としては何が必要か答えが出てくると思いますので,この根幹については是非確認をしていただきたいという希望でございます。
○ 学校設置者は、生徒や教師の数、部活動指導員の配置状況を踏まえ、校務分担の状況といった学校の実態等に応じて、指導内容の充実、生徒の安全・安心の確保、教師の長時間勤務の解消等の観点から円滑に運動部活動を実施できるよう、部活動指導員を任用し、学校に配置する。また、部活動指導員の任用に当たっては、あらかじめ、学校教育について理解し、適切な指導を行うために必要な研修を実施する。
○ 学校設置者及び都道府県は、運動部顧問の指導の質の向上を図るための研修等の取組を実施する。

2 合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組
学校における働き方改革特別部会の議論を踏まえ、教師にとって運動部顧問への就任は強制されるものでなく、義務でもないことを前提として下記の通り定める。
【根拠】スポ
(妹尾委員)
(略)非常に熱心で指導意欲のある先生も多い一方で,自分の専門外だったり,あるいは授業準備をもう少ししたいだとか,子育てがあるとか,プライベートな事情があるとか,いろいろな理由で部活動をそこまでしたくないという方もいます。かなりやらされ感のある教師がいても,そのような人も顧問に据えないと,今の部数では教師間の負担が非常にアンバランスになるという問題が学校現場で起こっております。
部活動は,あくまでも生徒の自主的な活動であり,かつ教師にとっても顧問をするのは強制でもないし,義務でもありませんので,その点を確認をした上で,このガイドラインでもしっかり,教師の専門性や,あるいはライフプラン,志向・希望も踏まえながら,適切な部活動の数や運営の在り方,分担の在り方を考え,そうしたことをしっかり意識していただくような案文を検討いただきたいと思います。
→(1),(2)ともに、教師がスポーツ指導者として優秀で意欲が高く、全員が得意とする種目の指導に従事できることを前提条件として必要としますが、実態はそうではありません。日本体育協会(2014)の調査によると中高ともに運動部顧問の半数が未経験競技を指導しています。この実態を踏まえてください。また、持ち帰り残業を含めて過労死ライン越えの中学校教員が7割以上存在している実態を踏まえてください。

(1)適切な指導の実施
○ 運動部顧問は、技能や記録の向上といった生徒の目標が達成できるよう、各競技種目の特性を踏まえた科学的トレーニングを積極的に導入し、適切な休養を取りながら、短時間で効果が得られる活動を実施する。
○ 運動部顧問は、運動部活動の指導において、生徒の安全・安心の確保を徹底する(安全点検の徹底、スポーツ障害・バーンアウトの予防、体罰の根絶、女子への指導に係る正しい理解等)。
(2)運動部活動用指導手引の普及・活用
○ スポーツ競技の国内統括団体は、競技の普及の役割に鑑み、運動部活動における合理的でかつ効率的・効果的な活動のための指導手引(競技レベルに応じた1 日2時間程度の練習メニュー例と週間、月間、年間での活動スケジュールや、効果的な練習方法、指導上の留意点、安全面の注意事項等)を作成する。

【3ページ目】
○ スポーツ競技の国内統括団体は、作成した指導手引をホームページに掲載・公開するとともに、公益財団法人日本中学校体育連盟や都道府県等と連携し、全国の学校における活用を依頼、普及を図る。
○ 運動部顧問は、指導手引を活用し、各競技種目の特性を踏まえた合理的でかつ効率的・効果的な活動を実施し、技能や記録の向上等を図る。