以下の要請を、文科省に提出しました。
(2017.4.17 速達にて郵送)

【初等中等教育の全学校種についての部活動調査要請】

提出先 ※クリックで開閉

1.文部科学省 大臣官房 総務課 法令審議室 長島雄大 様(陳情書受付担当)
  が「受け取り先」としてご判断された方々

2.上記1に加えて、以下の皆様
  ①文部科学省 文部科学大臣 松野 博一 様
  ②文部科学省 文部科学副大臣 義家 弘介 様
   (次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース 座長)
  ③文部科学省 文部科学副大臣 水落 敏栄 様
  ④文部科学省 文部科学大臣政務官 樋口 尚也 様
  ⑤文部科学省 文部科学大臣政務官 田野瀬 太道 様
  ⑥文部科学省 初等中等教育局 局長 藤原 誠 様
  ⑦文部科学省 初等中等教育局 初等中等教育企画課長 森田 正信 様
  ⑧文部科学省 初等中等教育局 財務課 課長 矢野 和彦 様
  ⑨文部科学省 初等中等教育局 教育課程課 課長 合田 哲雄 様
  ⑩文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課長 坪田 知広 様
  ⑪文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課長 丸山 洋司 様
  ⑫文部科学省 初等中等教育局 健康教育・食育課長 和田 勝行 様 
  ⑬文部科学省 初等中等教育局 教職員課長 佐藤 光次郎 様
  ⑭文部科学省 初等中等教育局 参事官 木村 直人 様
  ⑮文部科学省 スポーツ庁 長官 鈴木 大地 様
  ⑯文部科学省 スポーツ庁 次長 髙橋 道和 様
  ⑰文部科学省 スポーツ庁 政策課 課長 澤川 和宏 様
  ⑱文部科学省 文化庁 長官 宮田 亮平 様
  ⑲文部科学省 文化庁 次長 中岡 司 様
  ⑳文部科学省 科学技術・学術政策局 局長 伊藤 洋一 様
  ㉑文部科学省 大臣官房 総務課 広報室長 鍋島 豊 様
  ㉒文部科学省 生涯学習政策局長 有松 育子 様
  ㉓中央教育審議会 教育課程部会 部会長 無藤 隆 様

1.児童・生徒の「部活への強制入部」の撤廃のために,実態把握を

 以下の項目を調査してください。
① 部活への強制入部を行っている学校の数(児童会・生徒会規則等への記載も含む)
② ①の,都道府県別の割合
③ 部活への加入率の,都道府県別の割合

具体的には,以下の項目を小中学校の「平成29年度全国体力・運動能力等調査」の調査項目に加えてください。
ア 学校として,児童・生徒に部活動への加入を義務付けているか,いないか
イ 学校の児童・生徒総数
ウ 部活動に所属している児童・生徒総数(文化部も含む)
エ 部活動への加入率(イ÷ウ×100)

( ※1)小学校においても,中学校と同様に部活動についての調査を実施してください。小学校においては,部活動が実施されている実態があっても,これまで把握されてきていません。まずは実態把握が必要です。
(※2)特別支援学校,高等学校,高等専門学校等の初等中等教育の範囲内にある各種学校は「平成29年度全国体力・運動能力等調査」の範囲外であるため,別途調査をお願いします。

2.初等中等教育の範囲内にある全ての学校において「部活動の顧問の配置」の実態調査を

 平成28年の調査では,約9割の中学校で,部活動の顧問の配置については「全員が当たることを原則としている」といういわゆる全員顧問制が敷かれており,教員に部活の顧問が強制されているという実態が明らかになりました。顧問の強制は中学校だけの問題ではなく,他校種の教員にとっても深刻な問題となっています。
つきましては,

①「平成29年度全国体力・運動能力等調査」において,中学校に加え,小学校についても「部活動の顧問の配置」についての調査を実施してください。

②特別支援学校,高等学校,高等専門学校等の初等中等教育の範囲内にある各種学校は「平成29年度全国体力・運動能力等調査」の範囲外であるため,別途調査をお願いします。

3.調査および集計結果発表について

①上記2点の調査については,少なくともスポーツ庁が平成28年度の調査結果を公表されている通りの形式に含まれる以上の情報内容について,調査・把握・結果公表をしてください。
具体的には,【学校質問紙】の各項目の集計結果について,以下の内容です。
■質問紙調査(質問文,回答の選択肢もしくは自由記述)
■国公私立別の回答
■地域の規模別の回答
■都道府県別の回答

②『2.初等中等教育の範囲内にある全ての学校において「部活動の顧問の配置」の実態調査を』については,少なくとも平成28年度の中学校調査(学校質問紙)で実施された内容を調査・把握・結果公表をしてください。具体的には以下の質問項目と選択肢回答です。
【質問】
23.部活動の顧問の配置はどのようにしていますか。
【選択肢回答】
1.全員が当たることを原則としている
2.希望する教員が当たることを原則としている
3.その他

③加えて,貴省のご判断によって,教育政策運営により有益となる詳細かつ充実した調査を実施してください。

以上の件について,ご高配いただけますようお願い申し上げます。

【本調査「1」が新たに必要な理由】

 現状では,各学校において,児童・生徒が部活動への参加・加入を強制されている実態があります。前回の学習指導要領(総則編)は平成20年に告示されており,そこに「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動」という記載があったにも関わらず,いくつもの学校が指導要領に違反し,児童・生徒に部活動への参加・加入を強制している実態があります。これは,生徒の人権侵害に該当する,許されてはならない不適切な部活動運営です。『東京大学大学院教育学研究科紀要(註1)』によると,平成20年に8都県(岩手県・東京都・新潟県・静岡県・奈良県・香川県・山口県・鹿児島県)の全中学校を対象に調査を実施した結果,「部活動への加入を学校全体として生徒に義務付けている」中学校の割合が0%という都県は存在しませんでした。加入を義務づけている割合が最も低い鹿児島県でも6.3%,最も高い岩手県では99.1%の学校が,生徒に部活動への加入を義務づけていたことが明らかになっています。これは,学習指導要領に定められた部活動のあり方から逸脱しています。学習指導要領が全国の基準である以上,これを冒す学校が1%もとい1校でもあってはなりません。平成20年以降の調査結果(註2)としては,島根県では平成23年度時点で中学校の45.0%が全員加入を原則としています。平成23~27年度においては,岩手県盛岡市,埼玉県志木市,埼玉県熊谷市,岐阜県下呂市が,生徒に部活動への加入を義務づけている事実が明らかになっています(註3)。以上の実態から,平成20年に告示された学習指導要領に記載のある「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動」というあり方から逸脱したままの学校は,全国に複数あることが推定されます。他ならぬ学校教育の場において,部活動への加入を義務づけるという児童・生徒の人権を侵害する営みは,教育的な観点から鑑みてあってはなりません。しかし,現実には,残念ながらそうした学校が少なくありません。平成20年に告示された学習指導要領における部活動のあり方に反する学校が,現時点で複数ある以上,本調査を実施し,部活動の正常化を図る教育政策運営にお役立てください。

(註1)中澤篤史・西島央・矢野博之・熊谷信司(2008)「中学校部活動の指導・運営の現状と次期指導要領に向けた課題に関する教育社会学的研究」『東京大学大学院教育学研究科紀要』48: 322-323頁
参照URL https://goo.gl/cFtAcw
(註2)
島根県教育庁保健体育課(2011)『平成23年度 運動部活動(課外活動)に関する調査結果』7頁
参照URL  https://goo.gl/H9qS3C
(註3)
内田良(2016)『自治体ぐるみで部活動の強制加入 市内の中学校に「未加入の生徒はいない」』
参照URL  https://goo.gl/i059E2

生徒に部活動加入を義務づけている中学校の割合.jpg

※上記の要請は「部活問題対策プロジェクト」のウェブページ上に掲載されています。
 参照URL  http://www.geocities.jp/bukatumondai/statement2.html

LinkIcon生徒に部活に入部する・入部しないの自由を!入部の強制に断固反対!

2017年4月17日
部活問題対策プロジェクト代表
小阪成洋(旧PN本間大輔) 拝